わたしが欲しかったもの [Cinnamon Sugar]
わたしのことをわかっていてくれる人がいるから。
だけど、この数日はさすがに、ひとりでいるのがちょっと心細い。
そばにいてくれたらいいのにな、と思ったりもする。
でも、その人にはいま、全力で心配していることがある。
男ではなく、息子として。
わたしには祈ることしかできないから、しっかりと元気でいたい。
そのために、どうしても欲しかったものがある。
それは、東京の人たちが買いつくしてしまったものなんかじゃなくて。
部屋を彩る、あかるいピンクのバラ。
神さまのいたずら [Cinnamon Sugar]
そして、絶妙のタイミングで遭遇する。
偶然にしては、できすぎている。
だけど、仕組んだにしては、無理がある。
「神さまのいたずら」と呼びたくなるできごとが、たまに起こる。
ふつうをよしとしない、サプライズ好きな神さま。
気まぐれなところが、ご愛嬌。
たまには、なまえで [Cinnamon Sugar]
そんなこと、ない?
通話ボタン [Cinnamon Sugar]
「うわ(笑)。どっかで監視してない?」
つながったことに驚いていたら、相手はいきなり失礼なことをのたまう。
どうやら、ビルを出た瞬間に着信したらしい。
ほんの数分の、たわいないおしゃべり。
笑い声が聞けて、ほっとしたり、うれしかったり。
音声の情報量の多さを、あらためて実感。
メールもいいけど、電話もね。
空はつながってる [Cinnamon Sugar]
ときどき、想う [Cinnamon Sugar]
晴れた空を見上げたとき。
かわいらしい花を見つけたとき。
ときどき、想う。
いまごろ、なにしてるかな。
遠まわしな愛情表現 [Cinnamon Sugar]
土曜日だというのに、いつもより早く目が覚めた。
せっかくなので、ごはんを炊くことにする。
やわらかい朝日を背中に受けて米をとぎながら、ゆるゆると考える。
「気持ち」を、いつ伝えればばいいんだろう。
顔を見て話したいけど、めったに会えないし。
会えたとしても、話が盛り上がりすぎて、そんな雰囲気にならないし。
めずらしくかかってきた電話は、企画のための情報収集だったし。
そもそも、わたしから情報を集める必要ってあったっけ?
その企画に、わたしを巻き込もうとする理由って、なに?
儲かるわけないしね。とりあえず、おもしろいだろうけど。
ここまで考えて、はたと気がついた。
一緒におもしろいことをやろうとしてくれているんだ。
もしかして、これは愛情表現?ずいぶん遠まわしだけど…。
ふんわりと愛に包まれている気がして、頬がゆるむ。
もちろん、わたしの単なる思いつきであって、勘違いかもしれない。
だけど、しあわせな気分で週末を過ごすくらいは、いいよね?
かわりはいない [Cinnamon Sugar]
たまに交わす、数文字のメール。
お互いがどうしているのかを確認できる、ちいさなやりとり。
小学生みたいなふざけあいができると、元気だとわかる。
こうやってつながっているだけで、じんわりうれしかった。
数日前、ひょんなことで、2時間だけ会うことができた。
たわいのないことを話しながら、あらためて思い知らされた。
わたしとの会話のリズム、温度、距離感。
この心地よさを感じさせてくれる人は、他にはいないのだと。
ひさしぶりに、心をぎゅうっとつかまれてしまった。
はじめてゆっくり話したときと、同じくらいの強さで。
さみしくて、うれしい [Cinnamon Sugar]
新しい世界に飛び込んで3か月。
わたしの居場所ができはじめている。
ありのまま、まっすぐに理解されてきた感じ。
思ったより早く、のびのびできるかもしれない。
手放したものがあるから、生まれるものもある。
さみしいことがあるから、うれしいこともある。
でもね、過去は捨てたんじゃないの。
たいせつなものは、記憶の宝箱にちゃんと入れてある。
きっと、ずっと憶えてる。
思い出のスイッチ [Cinnamon Sugar]
思い出のスイッチは、思いもよらないところに隠れている。
だから、知らないうちに、うっかり押してしまう。
いつもは見ない番組をなんとなく見ていたら、それはいきなり目の前に現れた。
行ったことはないけど、話で聞いたことのある場所。
エンドロールを見ながら、やっぱりそうだと確認する。
あれから15年もたったんだね。
もう会うことはない人のことを、ちょっとだけ思い出す。
秋の気配を感じながら。